ステージと手術の関係は、細部で多少の違いがあるものの、2001年の初版ガイドラインから現在まで、基本的には変わっていません。もちろんこの間にも、内視鏡や手術器具などの改良が続けられていますから、手術の精度や安全性はかなり上がっているはずです。
18年版では、腹腔鏡を使ったステージⅠの胃の全摘は「考慮してもよいが、十分な科学的根拠はない」と書かれています。これは腹腔鏡と開腹のランダム化比較試験が行われていないためです。しかし健康保険ではすでに腹腔鏡による胃全摘まで認められており、実際には、ある程度普及しています。
統計によれば、15年における胃がんの新規患者は約12万9000人。同年に行われた胃がん手術は約10万6000件で、そのうち約5万2000件が内視鏡手術でした。
胃がん患者の40%はごく早期で見つかっているというわけです。また、腹腔鏡手術は約2万1000件。そのうち胃全摘は約3300件ありました。
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永田宏
長浜バイオ大学コンピュータバイオサイエンス学科教授
筑波大理工学研究科修士課程修了。オリンパス光学工業、KDDI研究所、タケダライフサイエンスリサーチセンター客員研究員、鈴鹿医療科学大学医用工学部教授を歴任。オープンデータを利用して、医療介護政策の分析や、医療資源の分布等に関する研究、国民の消費動向からみた健康と疾病予防の解析などを行っている。「血液型 で分かるなりやすい病気なりにくい病気」など著書多数。