ドクターXが見分ける いい医者いい病院

標準治療より優れている?先進医療は最善の治療法なのか

写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 ――最新のがん治療薬として承認された薬が、後になって効果が認められないとなるケースもあります。

「数年前にも、当時は最新だともてはやされた肺がんの抗がん剤がありました。効果が高いと言われてこぞって使われましたが、結果的には十分な効果が得られないどころか、お亡くなりになる人も出てきて使用中止になりました。このように、先進医療だからといって、最善の医療とは限らないということを知ってもらいたいと思います」

 ――医療系メディアなどでよく取り上げられる病院ランキングの「手術件数」の多さは、病院のクオリティーに関係がありますか?

「一般論で言えば、手術件数の多い病院は、それに応じた経験があるわけで、質の高い手術が受けられる可能性は高まります。そういう意味では、病院を選ぶ判断基準のひとつにしてもいいかもしれません。ですが、中にはそれを逆手に取り、手術適応にならない危ない症例も手術をして、件数を稼いでいる病院があります。首都圏の人ならば誰もが知っている病院でも、必要とされない心臓カテーテル手術が行われているといった風の噂も聞きます」

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中山祐次郎

中山祐次郎

1980年生まれ。鹿児島大学医学部卒。都立駒込病院大腸外科医師(非常勤)として10年勤務。現在は福島県郡山市の総合南東北病院に外科医として籍を置き、手術の日々を送る。著書に「医者の本音」(SBクリエイティブ)、小説「泣くな研修医」(幻冬舎)などがある。

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