たとえば、アレルギーに使われる「抗ヒスタミン薬」には強い眠気が出る副作用がありますが、それを利用した「睡眠改善薬」が発売されています。また、解熱鎮痛薬の「アスピリン」には、血液を固まりにくくする抗血小板作用もあります。ただ、心筋梗塞や脳梗塞の予防のために血をサラサラにする目的で服用する場合は、解熱鎮痛で使用する際の4分の1程度の成分量で十分です。そこで、アスピリンの成分量を減らした「バイアスピリン」が抗血小板薬として発売されているのです。
コレステロール降下剤の「スタチン」も、さまざまな疾患に対する有効性を確かめる試験が進んでいます。糖尿病などの血管を硬くする病気の患者さんにかなり早い段階からスタチンを投与して動脈硬化を抑制しようという試みや、腎機能が低下すると動脈硬化が進んで将来的に人工透析になるリスクが上がるため、これも早期にスタチンを導入すれば悪化を防げるのではと考えられています。
上皇の執刀医「心臓病はここまで治せる」