【Q】インプラントはメンテナンスが大変だと聞きましたが本当でしょうか
【A】定期的に歯科医院に来ていただいて、歯科医師か歯科衛生士によるメンテナンスが必要になります。
ただ、過剰に手を加えると逆にインプラント周囲の炎症を引き起こす原因にもなりますので注意してください。
インプラントは生体内の顎の骨から生体外である口腔(口の中)に貫通して存在しています。常に外部環境である口腔からの影響を受けるので、上部構造(人工の歯)が周囲の環境と調和して長期間、その機能を維持していくには定期的なメンテナンスが必要なのです。
メンテナンスには大きく分けて2つの目的があります。①天然の歯と同じように歯周病にかかるリスクがあるので、そのモニタリング②上部構造やインプラント体(骨に埋まっているネジの部分)自体の材料に異変が起こっていないかの確認――の2点です。
①ではプラーク(細菌の塊)や周囲の粘膜の炎症の有無、揺れの有無などを確認していきます。②は自動車の点検と同じ定期的なチェックで、必要性があれば手を加えます。
インプラントはスクリューで上部構造を締結するタイプがほとんどで、一定のトルク値(メーカーによって異なる)で締めるのですが、緩んでくることもありますから2年に1度くらいは緩んでいないか確認するべきだと思います。さらに、上部構造自体に破折やすり減りがないかも観察します。
5年前に他の歯科医院でインプラントを入れた患者さんがいらっしゃいました。
とても真面目な方で、そこの衛生士さんに言われた通り、毎日、食後30分は歯ブラシをしていたそうです。しかし、歯茎がみるみるなくなってきたため、怖くなって僕の診療所を訪れたのです。
過剰なブラッシングによって本来は骨に埋まってないといけない部分まで露出してしまい、むき出しの状態でした。僕は、食後の歯ブラシはインプラントも天然の歯と同じようにするだけで構わないと思います。30分以上も磨くなんて常識的ではありません。
(構成=小澤美佳)
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