がんと宣告されたら、とりわけ手術と言われたら、できるだけ大きい病院で受けたいと思うのが我々のごく自然な感覚です。
大病院には医者が大勢いるし、最新の設備が整っているので安心感があります。それにできることなら、傷の小さい腹腔鏡手術のほうを受けたいと考えます。となると、手術を受ける病院は限られてきそうです。実際はどうでしょうか。
病院によって予後が影響されることは十分に考えられます。実はそういうことを書いている診療ガイドラインもあります。たとえば膵がんのガイドライン(2016年版)には、次のように書かれています。
「膵癌では、全死亡率の低下、在院死亡率の低下……を考慮した場合、手術例数の多い施設で外科的治療を行うことを提案する」
こんなことを読まされたら、本気で病院を選ばないわけにはいきません。
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永田宏
長浜バイオ大学コンピュータバイオサイエンス学科教授
筑波大理工学研究科修士課程修了。オリンパス光学工業、KDDI研究所、タケダライフサイエンスリサーチセンター客員研究員、鈴鹿医療科学大学医用工学部教授を歴任。オープンデータを利用して、医療介護政策の分析や、医療資源の分布等に関する研究、国民の消費動向からみた健康と疾病予防の解析などを行っている。「血液型 で分かるなりやすい病気なりにくい病気」など著書多数。