がんと向き合い生きていく

80歳の男性患者は孫からの“宿題”で生きる元気を取り戻した

佐々木常雄氏(C)日刊ゲンダイ

「楽しみは孫の成長くらいかな。一緒に住んでいないけどね。先生、小学生の頃の孫はかわいかったよ。でも、だんだん塾とかでいまや会えるのは年2、3回くらいかな。来た時は小遣い稼ぎ、金集めなんだから……もらったらすぐ帰ってしまう」

 ひとしきりお話をされて、Pさんはお帰りになりました。

■図書館にも通い始めた

 それから2カ月後の受診です。今度はとても元気そうに見えました。

「元気ですよ。採血の結果はどうでした? 悪いものはなにもなかった?良かった。おかげさまでありがとうございます。この間、私の誕生日だからって中学生の孫が来てね。“宿題”をもらっちゃいましたよ。なんと『人間の生きる意味』って題で作文を書くから、生きる意味を教えてくれって言うんです。親は人生経験が長いおじいちゃんに聞けって言ったそうで、そんなこと聞かれて困ってしまって。私の宿題になってしまいましたよ。私はそんな難しいこと考えたこともないしね。『世界でたった一人の私のおじいちゃん。元気で長生きしてください』なんて書いたカードを持ってきてさ。気がついたら小遣い弾んであげちゃいましたよ」

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佐々木常雄

東京都立駒込病院名誉院長。専門はがん化学療法・腫瘍内科学。1945年、山形県天童市生まれ。弘前大学医学部卒。青森県立中央病院から国立がんセンター(当時)を経て、75年から都立駒込病院化学療法科に勤務。08年から12年まで同院長。がん専門医として、2万人以上に抗がん剤治療を行い、2000人以上の最期をみとってきた。日本癌治療学会名誉会員、日本胃癌学会特別会員、癌と化学療法編集顧問などを務める。

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