「楽しみは孫の成長くらいかな。一緒に住んでいないけどね。先生、小学生の頃の孫はかわいかったよ。でも、だんだん塾とかでいまや会えるのは年2、3回くらいかな。来た時は小遣い稼ぎ、金集めなんだから……もらったらすぐ帰ってしまう」
ひとしきりお話をされて、Pさんはお帰りになりました。
■図書館にも通い始めた
それから2カ月後の受診です。今度はとても元気そうに見えました。
「元気ですよ。採血の結果はどうでした? 悪いものはなにもなかった?良かった。おかげさまでありがとうございます。この間、私の誕生日だからって中学生の孫が来てね。“宿題”をもらっちゃいましたよ。なんと『人間の生きる意味』って題で作文を書くから、生きる意味を教えてくれって言うんです。親は人生経験が長いおじいちゃんに聞けって言ったそうで、そんなこと聞かれて困ってしまって。私の宿題になってしまいましたよ。私はそんな難しいこと考えたこともないしね。『世界でたった一人の私のおじいちゃん。元気で長生きしてください』なんて書いたカードを持ってきてさ。気がついたら小遣い弾んであげちゃいましたよ」
がんと向き合い生きていく