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運動経験ほとんどなし…始める時に気を付けるべきことは?

運動経験のない人はウオーキングから
運動経験のない人はウオーキングから(C)日刊ゲンダイ

 運動経験のない中高年の皆さんは、まずは自分が思っている以上に体が動かなくなっているということを自覚しましょう。

 筋肉が衰え、神経・筋反応も鈍くなり、関節の柔軟性も落ちています。準備運動もなしに急に動くと、転倒したり、膝に負担がきて、故障やけがを生じやすくなるので、注意が必要です。

 運動を始める時に注意したい持病は、動脈硬化を起こしやすい生活習慣病、虚血性心疾患(心筋梗塞、狭心症など)、合併症のある糖尿病、変形性関節症です。

 動脈硬化によって心臓に血液を送り出す血管がもろくなっていたり狭くなっている場合は、虚血性心疾患を起こしやすいです。体を動かした時、胸が締め付けられるように感じる(労作性狭心症)だけでなく、症状がないのに心筋の血流障害が生じる無症候性心筋虚血もあります。

 高血圧自体はありふれた病気ですが、脳卒中や心不全、心臓病などの重大病のリスクを高めるので、診断された場合は放置せずに治療が必要です。

 糖尿病の人においては、血糖値を下げる効果があるので運動療法が推奨されますが、腎症や網膜症などの重度の合併症がある場合は、かえって症状が悪化することも。

 また、膝や股関節などの変形性関節症で痛みがある人が走り続けると、変形が進んでしまいます。無症状で痛みを自覚していなくても、変形性関節症が生じている場合もあるので注意してください。

 中高年になると内臓疾患や運動器疾患が隠れている可能性が高い。運動を始める前には基本的なメディカルチェック(健康診断や人間ドック)を受け、自分の体の状態を把握しておきましょう。

 ほとんど運動したことのない人に取り組んで欲しい運動は「ウオーキング」。しっかりと準備運動をしたのち、息が切れないペースで30分ほど早歩きで歩いてみましょう。ウオーキングを続けて体が軽くなってきたように感じられたら「ジョギング」に進みましょう。

(国際医療福祉大学熱海病院検査部・〆谷直人部長)

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