専門医が教える パンツの中の秘密

勃起が治まらない…4時間以上続くなら一刻も早く受診を

写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 カッチカチの勃起がいつまでも持続している。中高年の皆さんの中には、「なんて羨ましい」と思う人もいるでしょう。しかし、性欲や性的興奮とは関係なく、勃起が4時間以上続いていたら「持続勃起症」と呼ばれる立派な病気です。

 ペニスは亀頭から尿道の周りを囲んでいる「尿道海綿体」と、その上の両側に「陰茎海綿体」があります。

 勃起は、この海綿体に血液が流入して充満することで完成します。持続勃起症は、陰茎海綿体の方の血液の流入出に異常が起こることで発症します。そのため陰茎海綿体の勃起が持続し、尿道海綿体の勃起は起こらないので亀頭は軟らかく快感はないという特徴が見られます。また持続勃起症は主に、完全な勃起で痛みを伴う「静脈性持続勃起症」と、不完全な勃起で痛みを伴わない「動脈性持続勃起症」の2つのタイプがあり、病態と原因に違いがあります。

 緊急性を要するのは、海綿体内の血液の戻りが悪く虚血状態になる静脈性持続勃起症です。血液の入れ替えができなくなり、酸素の供給が途絶えてしまうので、発症から6時間経過すると海綿体組織の壊死(えし)が始まります。手遅れになるとED(勃起障害)になるので、痛みを伴う硬い勃起が4時間続いたら、できるだけ早く泌尿器科を受診するようにしてください。

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尾上泰彦

尾上泰彦

性感染症専門医療機関「プライベートケアクリニック東京」院長。日大医学部卒。医学博士。日本性感染症学会(功労会員)、(財)性の健康医学財団(代議員)、厚生労働省エイズ対策研究事業「性感染症患者のHIV感染と行動のモニタリングに関する研究」共同研究者、川崎STI研究会代表世話人などを務め、日本の性感染症予防・治療を牽引している。著書も多く、近著に「性感染症 プライベートゾーンの怖い医学」(角川新書)がある。

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