専門医が教える パンツの中の秘密

勃起が治まらない…4時間以上続くなら一刻も早く受診を

写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 静脈性持続勃起症の原因は、ED治療で用いられる陰茎海綿体注射の副作用、抗凝固薬や降圧薬などの持病の薬剤、白血病などの血液疾患などさまざまです。

 一方、動脈性持続勃起症の発症原因の多くは、ペニスや会陰部(陰のうと肛門の間)の打撲。バイクや自転車で転倒して、サドルで股間を強打したり、高所から飛び降りて股間に何かが当たったりした場合です。

 病態は陰茎海綿体内の動脈が破れて、動脈血が常に流入している状態です。しかし、血液循環はあるので壊死は起こりません。治療の必要はありますが、緊急治療は必要ありません。

 静脈性持続勃起症の場合、治療は直ちに注射器で陰茎海綿体内にたまっている血液を吸引し、血管収縮薬を注入します。この薬物療法をやっても効果がなければ、“シャント手術”を行います。陰茎海綿体内の血液を亀頭(尿道海綿体)に逃がして、血液循環を改善させる手術です。

 動脈性持続勃起症の場合は、血液流出部の圧迫や冷却、止血剤や抗男性ホルモンの投与を行います。

 これらの保存的治療でしばらく様子を見て、改善傾向がなければ動脈塞栓術(カテーテル治療)が検討されます。

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尾上泰彦

尾上泰彦

性感染症専門医療機関「プライベートケアクリニック東京」院長。日大医学部卒。医学博士。日本性感染症学会(功労会員)、(財)性の健康医学財団(代議員)、厚生労働省エイズ対策研究事業「性感染症患者のHIV感染と行動のモニタリングに関する研究」共同研究者、川崎STI研究会代表世話人などを務め、日本の性感染症予防・治療を牽引している。著書も多く、近著に「性感染症 プライベートゾーンの怖い医学」(角川新書)がある。

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