■日本の技術同士がコラボした再生医療
一方、iPS細胞は心筋そのものにも分化します。砂漠に種をまいて水をかけ、オアシスをつくるイメージです。iPS細胞から分化させた心筋細胞をそのまま心臓に注入しても、もともと心臓は筋肉が豊富で常に脈打っているため、なかなか定着せず、数日から数週間程度で消えてしまいます。それが、シート状にして貼り付けるとしばらく残っています。その間に、衰弱した心臓の表面に心筋の膜が1層でも2層でも新たに作られれば、心機能の回復が期待できるのです。
iPS細胞は京都大の山中伸弥教授が開発した技術で、心筋シートも女子医大の研究チームが開発した技術です。今回の治験で行われる治療は、日本の技術同士がコラボした再生医療なのです。
動物実験では大型の部類でも有効性と安全性が確認されていて、かなり期待できるラインまで到達しています。手続きのうえでは、あとはヒトで確認できるかどうかの段階まで来たということです。
上皇の執刀医「心臓病はここまで治せる」