顎関節は耳の穴(外耳道)のすぐ前にあり、下顎の骨(下顎骨)の一番後ろの上方に突き出た部分(下顎頭)が、頭の骨(頭蓋骨)の下面のくぼんだところ(下顎窩=かがくか)に、はまり込んでできていて、間にクッションの役割をしたり動きをスムーズにしたりする関節円板という組織があります。
口を開閉するときは下顎頭と関節円板は一緒に動くのですが、なんらかの原因で一緒に動かなくなる場合があります。
たとえば、下顎頭から関節円板が外れてしまうと、カリッとかカクッという音がするのです。これをクリック音と呼びますが、痛みもなく生活に支障が出ないときは手を加えないで経過観察します。
ある患者さんは、この症状を改善できないかと思いつきで「関節だから動かせば動かしただけスムーズになるだろう」と考え、口を大きく開けたり閉じたり、硬いものを噛んだりしていたそうです。しかし、症状は悪化し顎の痛みで口が開けられなくなって僕の診療所に駆け込んできました。
顎関節症の症状には段階があり、治療法が異なります。自分の考えや思いつきで治そうとしないでください。
(構成=小澤美佳)
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