1つは治療の期限が決まっていないこと。原則として薬の効果がなくなるまで、あるいは副作用に耐えられなくなるまで治療が続くわけです。
2つ目は、使用できる薬剤が豊富にあることです。2001年当時、効果が期待できるのは5―FUとシスプラチンぐらいだったのですが、現在は10種類以上が使われています。そのうちの2種類は分子標的薬、1種類は免疫チェックポイント阻害剤(オプジーボ)です。
3つ目に、治療を始める前にHER2と呼ばれる遺伝子の検査を行います。がん細胞の増殖に関わる遺伝子で、乳がんなどで有名ですが、胃がんでも重要な役割を果たしていることがあります。このHER2遺伝子が陽性か陰性かで使う薬が違ってきます。
そして4つ目が、抗がん剤治療の体系化が進んだこと。胃がんでは3段構えになっており、初回の治療(1次治療、ファーストラインなどと呼ばれる)でもっとも効果が期待できる薬が使われます。
しかし、それで効果が得られなかったり、効き目が落ちてくると、2次治療(セカンドライン)、3次治療(サードライン)と移っていきます。
いまでは詳しいフローチャートが作られており、素人が見てもどんな順序でどんな薬が使われるのか分かるようになっています。
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永田宏
長浜バイオ大学コンピュータバイオサイエンス学科教授
筑波大理工学研究科修士課程修了。オリンパス光学工業、KDDI研究所、タケダライフサイエンスリサーチセンター客員研究員、鈴鹿医療科学大学医用工学部教授を歴任。オープンデータを利用して、医療介護政策の分析や、医療資源の分布等に関する研究、国民の消費動向からみた健康と疾病予防の解析などを行っている。「血液型 で分かるなりやすい病気なりにくい病気」など著書多数。