一般男性より4歳長生き「僧侶の食生活」が注目されるワケ

東日本大震災の犠牲者を悼み、念仏を唱えながら練り歩く僧侶(C)共同通信社

「にもかかわらず、血液中のタンパクもカルシウムもその量は一般男性と変わりませんでした。血糖値は逆に5㎎/デシリットル低かったのです」

 むろん、禅寺には食生活以外にも厳しい戒律がある。禁酒、禁煙、規則正しい生活、座禅や読経など一般とは異なる生活が求められる。それが血液データに影響した部分はあるだろう。しかし、それを割り引いても今の日本人がこれ以上動物性食品を多く取る必然性はないはずだ。

 とはいえ、「後は死ぬだけだからいまさら養生なんて……。好きなものを好きなだけ食べて何が悪い」と開き直る中高年もいるだろう。しかし、織田信長や毛利元就らに信頼された、僧侶で医師の曲直瀬道三は同じような問いに「良く死ぬためである。天寿をまっとうし、生を完成するためには養生が必要」と答えている。

 実際、数百人をみとった医師に聞くと、病気で亡くなる人は最後まで生きる戦いをするために体は点滴で水ぶくれしており、死に顔も苦悶の表情を浮かべる人が多いという。

 しかし、最後まで健康で自然死する人は徐々にやせるため遺体もきれいで、眠るように亡くなるため表情も穏やかだ。

 より良く生きて、死ぬためには個々人にあったより良い和食を探ることだ。あなたも考えてみたら?

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