進化する糖尿病治療法

60代まではカロリー制限 それ以降は塩分を抑える

年を取ったら下肢筋力を維持する(C)PIXTA
年を取ったらカロリーが多少高くてもタンパク質を多く摂取

 しかし最新の考え方では、すべての方において一律に「カロリー制限が必要、と考えない」というもの。その方の生活、食事の取り方、年代などで変えていくべき。私としては、ざっくりと「60代までは食事のカロリーやバランスを心掛ける。60代を過ぎたらカロリーではなく塩分量を心掛ける」ことが大事だと考えています。

60代より先は、肥満の方を除いて、カロリーを気にせず食べ、筋肉量を落とさないようにしてほしい。特に下肢筋力です。筋肉量の維持は、サルコペニア(加齢に伴い起こる骨格筋量と骨格筋力の低下)や低栄養の予防になり、健康寿命を延ばします。筋肉量が落ちると嚥下障害も起こりやすくなりますし、運動量が減って骨粗しょう症も起こしやすくなります。

60代を超えたら、カロリーが多少高くなっても、タンパク質が豊富に取れる食事の方がいい。食べられる量が減って痩せていくような方は、豚肉を食べるならしゃぶしゃぶよりポークソテーやトンカツのような、カロリーが高いものの方がいいのです。

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坂本昌也

坂本昌也

専門は糖尿病治療と心血管内分泌学。1970年、東京都港区生まれ。東京慈恵会医科大学卒。東京大学、千葉大学で心臓の研究を経て、現在では糖尿病患者の予防医学の観点から臨床・基礎研究を続けている。日本糖尿病学会、日本高血圧学会、日本内分泌学会の専門医・指導医・評議員を務める。

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