後悔しない認知症

過去に親しんだテキストをもう一度、引っ張り出してみよう

写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 間違いなく優れた認知症予防法である。過去に自分が記憶した知識に触れ直すことで、その記憶にまつわるエピソードの想起を促す効果も期待できる。「この単語は○○大学の試験に出た」、あるいは「このとき、××さんにフラれた」「この漢詩の一節は△△の座右の銘だった」などと、暗記事項の蓄積と同時にさまざまなエピソードが蘇る。これが脳の動きを活発にするのである。

 人によっては認知症予防の素材が「赤尾の豆単」ではなく、「大学への数学」であったり、山川出版社の世界史の教科書であったりするかもしれない。暗記をするわけではないが、好きな小説や漫画に触れるのでもいい。「お仕着せ」の脳トレではなく、自分が過去に親しんだ素材を認知症予防のテキストにできるのだ。

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和田秀樹

和田秀樹

1960年大阪生まれ。精神科医。国際医療福祉大学心理学科教授。医師、評論家としてのテレビ出演、著作も多い。最新刊「先生! 親がボケたみたいなんですけど…… 」(祥伝社)が大きな話題となっている。

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