G医師は「Dさんには病状をしっかり説明してあるし、十分理解いただいている。コミュニケーションは良好だ」と思っていました。ところが、そうではなかった事態が起こりました。
外来診察でのある日、いつものように診察が終わって、Dさんが「先生、大丈夫です。頑張ります」と話して帰ろうとした時のことです。G医師は、「一度、ご家族とか看護師とか皆さんに集まっていただいて、Dさんの今後のことで話し合っておきたいと思うのですが……」と言いながら、机の引き出しから「人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドライン」と印刷された資料を取り出しました。
この表紙を見たDさんは、「人生の最終段階……」と読み上げたところで、「え! 先生! 私、そんなに悪いのですか?人生の最終段階って、もうそんなに生きられないのですか?」と驚いています。
がんと向き合い生きていく