医者も知らない医学の新常識

世界で導入される「カロリー表示」はダイエットに有効なのか

ついつい食べ過ぎてしまうが…
ついつい食べ過ぎてしまうが…

 無数のダイエット法が毎日のようにテレビや雑誌では紹介されています。

 それでも体重を適正に維持できない人が多いのは、一方でカロリーや糖分の多い食事の誘惑があるからです。

 コンビニにも、ファストフードやファミレスにも、そうしたおいしそうな食品やお菓子があふれています。

 こうした食品は口当たりが良く、癖にもなりやすいので、ついつい食べ過ぎてしまうのです。

 その食べ過ぎを予防する方法として、世界的に導入されているのが、食品のカロリー表示です。食品を店頭やお店のメニューで選ぶ時に、そのカロリーが表示されていると、「こんなにカロリーが多いのか、少し控えないと」という意識が働き、食べ過ぎが防止される、という効果が期待されたのです。

 しかし、こうしたカロリー表示には、実際にどの程度のカロリー削減効果があるのでしょうか? 今年の「ブリティッシュ・メディカル・ジャーナル」という一流の医学誌に、アメリカのファミリーレストランでの調査結果が報告されています。

 それによると、カロリー表示が導入されたことにより、一時的にはひとつの注文当たり60キロカロリー程度の、カロリー減少効果が認められましたが、その効果は徐々に失われ、導入後1年が経った時には、その効果はなくなってしまいました。

 カロリー表示だけでは、高カロリーの食品の誘惑には勝てないようです。

石原藤樹

石原藤樹

信州大学医学部医学会大学院卒。同大学医学部老年内科(内分泌内科)助手を経て、心療内科、小児科研修を経て、1998年より「六号通り診療所」所長を務めた。日本プライマリ・ケア学会会員。日本医師会認定産業医・同認定スポーツ医。糖尿病協会療養指導医。

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