役に立つオモシロ医学論文

医学誌で報告 「気持ち」が食事の摂取カロリーを左右する

間食でストレス解消?

 糖尿病の治療においては、薬による血糖値のコントロール以外にも、食習慣の改善とその維持が重要ですが、日々の食事内容に配慮し続けることは容易ではありません。

 特にストレスなどの心理的要因は、その日の食事内容に変化をもたらす可能性が報告されています。

 しかし、これまでの研究データは被験者の自己報告に基づく調査が多く、研究結果の客観性については議論の余地がありました。

 そんな中、被験者の記憶に基づく情報ではなく、携帯情報端末を活用しリアルタイムに情報を収集したうえで、心理的ストレスと摂取カロリーの関連性を検討した研究論文が、日本心身医学会誌の2019年9月号に掲載されました。

 この研究では、糖尿病で大学病院を受診している日本人9人(年齢中央値49歳)が対象となっています。被験者には携帯情報端末を貸与し、心理的ストレスや飲食物に関する情報などを入力してもらいました。半年間にわたるデータの収集を行い、食事前5時間以内の心理的状態と、その後の摂取カロリーの関連性が検討されています。

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青島周一

青島周一

2004年城西大学薬学部卒。保険薬局勤務を経て12年9月より中野病院(栃木県栃木市)に勤務。“薬剤師によるEBM(科学的エビデンスに基づく医療)スタイル診療支援”の確立を目指し、その実践記録を自身のブログ「薬剤師の地域医療日誌」などに書き留めている。

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