そうなると、最重症の段階にいる患者さんが置き去りになってしまう懸念が出てきます。“治しがいのある人”が選別されかねないのです。今回の臨床試験では、有効性、安全性、費用も含めたさまざまな課題についてしっかり検討し、議論をより深めていく必要があります。
これからすべてが問題なく順調に進めば、iPS細胞を使った重症心不全に対する治療は、3年くらいで保険診療として承認される可能性があります。心臓でゴーサインが出れば、ほかの臓器が次々と対象になっていくでしょう。iPS細胞による再生医療は、遠い未来のお話ではない段階まで到達しているのです。
上皇の執刀医「心臓病はここまで治せる」