世界的科学誌で報告「膵がん」はお腹のカビが原因だった?

腸の機能が体の免疫力の7~8割を担っている(C)日刊ゲンダイ

 膵がんは腸内に生息するカビ(真菌)が膵臓に移動し、正常な細胞をがん化させたせいかもしれない――。こんな驚きの報告をしたのは米ニューヨーク大学の研究グループだ。2019年10月2日号の「ネイチャー」に発表した。膵がんにカビの関与が示されたのは初めてで、これが本当なら5年生存率が5%以下で「見つかったらもうおしまい」と言われるほど致死率の高い膵がんの予防法や治療法が向上する可能性がある。国際医療福祉大学病院内科学の一石英一郎教授に聞いた。

「研究では、7カ月半にわたり膵がんマウスと健康なマウスの糞を採取し、真菌の種類と数を調べています。正常な細胞ががん化する際に真菌叢の組成も変化するかを確認するためです。蛍光タンパク質で印を付けた真菌をマウスの腸に注入し、真菌が腸から膵臓へ移動する様子も観察しました。その結果、膵がんマウスの真菌の数は健康なマウスに比べ、およそ3000倍に増えていて、真菌叢の組成も大きく異なっていたことが分かったのです。特にマラッセジア属と呼ばれる真菌の数が急増しており、これは膵がん患者の膵臓でも見られる現象だそうです」

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