リラックス効果、しかも集中力アップ! ほうじ茶のしあわせの香りの秘密?

ほうじ茶でも“一番茶ほうじ”がベスト

 イライラや不安……ストレス社会である。たとえば、われわれビジネスマン。仕事の量や質、それに人間関係など多くのストレスの原因が身の回りに溢れている。そんな人たちにお勧めの飲料として身近なほうじ茶が注目されている。リラックス効果だけでなく、さらに集中力もアップさせることがわかった。そんなほうじ茶の魅力を探ってみた。

■注目の「ピラジン」とは?

 最近、コンビニの店内には飲料はもちろんアイスや菓子類、それにカフェチェーンではドリンクやスイーツなど、ほうじ茶を使った商品を多く見かけるようになった。近年、若い女性を中心に、ほうじ茶が人気を集めているといわれるのがよく分かる。

 そもそも、ほうじ茶は緑茶を焙煎したものをいう。ほうじ茶の大きな特徴といえば、誰もが納得するのが焙煎された香ばしい香りだろう。

 日本人はすでに昔から、ほうじ茶の香りには人をリラックスさせる効果があることを経験的に知っているが、これまでのさまざまな科学的な研究の結果、お茶にはもともと300種類以上の香り成分があり、加熱されることによって香ばしい香りが生み出されることがわかっている。実は緑茶には摘み取る時期によって一番茶、二番茶、三番茶、秋冬番茶といった種類があるのだ。その中でも一番茶を使用したほうじ茶は香り・旨み成分となるアミノ酸が多く含まれていることが明らかにされている。

 そして、この甘く香ばしい焙煎香の中に含まれている成分で、特に注目なのが「ピラジン」という香り成分だ。

杏林大学の古賀良彦名誉教授
杏林大学の古賀良彦名誉教授
香りと旨み。その成分となるアミノ酸が多く含まれている

 ピラジンには血流を促進させる働きがあることが知られている。お茶にはもともと含まれるテアニンというリラックス成分もある。つまり、焙煎することで生まれる香り成分の相乗効果がより大きなリラックス効果をもたらしてくれるというわけだ。

 では、実際ほうじ茶を飲んでどのような効果が得られるのか。ほうじ茶について詳しく、早くからその香りに注目している杏林大学の古賀良彦名誉教授によるとアンケート調査や脳波測定から興味深いことが分かったと言うのだ。

■興味深い。アンケート調査と脳波の測定結果

 ほうじ茶と緑茶の飲用効果を比較したところ、「ほうじ茶はストレス感がやわらぎ、心地よさが得られる」というアンケート調査の結果が得られた。

「ほうじ茶の香りにリラックス効果があることは、すでに以前行った実験によっても分かっていましたが、今回、アンケート調査に参加した人のうち、20〜24歳、25〜29歳、30〜34歳、35〜39歳、40〜44歳の各年齢層の男女1名ずつ、計10名(内、有効データの得られた被験者は8名)を対象に、脳波の測定を実施しました。すると、ほうじ茶では集中力の指標となるP300という脳波が早くピークに達することが確認できた結果、ほうじ茶を飲むと集中力が高まるということがわかりました」(古賀名誉教授)

 さらに古賀名誉教授はこのアンケート調査と脳波の測定から結果についてこう語る。

「忙しい毎日を過ごす現代人にとって、ほうじ茶は脳の機能に影響を与えて生産性の向上をもたらしてくれるばかりではなく、心理的にしあわせ感を与えてくれるということを示唆していると考えてよいでしょう」

 忙しいビジネスパーソンにとって、ほうじ茶が放つ甘く香ばしい、しあわせな香りが毎日の生活に欠かすことのできない必須ドリンクになりそうだ。

 仕事中に集中力が途切れたと感じた時、イライラした気分を変えたい時など、ほうじ茶を積極的に飲んでみてはいかがだろうか。

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