病み患いのモトを断つ

芸能界で発症続出 脳卒中の明暗を分ける「3つの条件」とは

48歳の若さで他界した桂三金さん(左)と早期治療が幸いした加山雄三さん(C)日刊ゲンダイ

■長嶋茂雄氏とオシム氏の違い

 では、加山さんの“勝因”はなにか。桑島氏は、搬送先の病院で受けた点滴治療に着目してこう言った。

「加山さんが点滴で受けたのは、t―PAと呼ばれる血栓を溶かす治療だと思われます。この治療の適応は、発症から4時間半以内。その時間内なら、血流が完全に回復して、症状がすべて解消することもまれではありません。劇的な効果のある治療でも、モタモタしていると、その恩恵にあずかれないのです」

 今月16日に予定されているコンサートは、来年1月15日に延期。その復帰に向けて治療に励んでいる。早期発見の加山さんは軽くて済んだが、治療が遅れると、大変だった恐れがあるという。

「82歳の年齢を考えると、加山さんを襲った脳梗塞は、心臓にできた血栓が脳に流れて詰まらせる心原性脳塞栓でしょう。そうだとすれば、長嶋茂雄さん(巨人終身名誉監督)とオシムさん(サッカー日本代表元監督)を苦しめたタイプと同じです。t―PAが保険適用されたのは2005年。長嶋さんの発症はその1年前で、オシムさんの発症は2年後でした。t―PAを受けられたかどうかの違いは大きい。心原性脳塞栓は治療が遅れると、重いマヒが残りやすいばかりか、呼吸中枢が詰まると、致死率が高い」

 厄介な心原性脳塞栓の原因が、心房細動と呼ばれる不整脈。高血圧の治療だけでなく、不整脈の治療も重要だという。

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