漢方の意外な実力

飲酒で赤ら顔になる人は黄連解毒湯 二日酔いで保険適応も

ついつい飲み過ぎて…
ついつい飲み過ぎて…

 もうすぐ忘年会シーズンです。左党なら飲み過ぎによる失敗体験があるかもしれません。楽しい宴会だと、ついつい飲み過ぎてしまいますが、二日酔いに効果的な漢方薬があることをご存じでしょうか。

 その代表が、五苓散と黄連解毒湯です。保険適用になっていることから分かるように、効果が認められています。

 まずは、五苓散について。むくみや喉の渇き、むかつき、嘔吐などの症状に効果的。たくさん飲んだ翌朝、口は乾いているのに、脚はパンパンにむくんでいるということはあるでしょう。

 そんなときに五苓散を飲むと、むくみが解消し、口の中が少しずつ潤うようになり、トイレが近くなっていきます。五苓散の働きは、体内で偏った水分の分布を整えるイメージです。

 もうひとつの黄連解毒湯は、のぼせや赤ら顔、アトピー性皮膚炎などの改善に処方され、二日酔い対策では胃の不快感や頭痛を緩和し、飲み過ぎ全般に効果的。のぼせや赤ら顔にいいことから分かるように飲酒で顔が赤くなったり体がほてったりする人に向いています。

 黄連解毒湯に含まれる生薬のうち黄連と黄芩が解毒にかかわっていて、半夏瀉心湯もこれらを含みます。みぞおちがつかえた感じがしたり、吐き気がしたりするときに効果的。一般に逆流性食道炎や慢性的な吐き気に処方されるのはそのためです。

 黄連解毒湯と半夏瀉心湯は、体の熱を冷ましたり、炎症を抑えたりする働きが強く、寒がりや冷え性の人には不向き。そういう人は、五苓散がいいでしょう。茵蔯五苓散と呼ばれる漢方薬もあり、尿量が減っていて、むかつき、嘔吐などがあるときに効果的です。

 これらの漢方薬は、処方薬も市販薬もありますが、服用するときは一度漢方内科を受診するのが無難でしょう。一般に市販薬は、処方薬の3分の2程度の量ですが、処方薬の方が保険が利いて安い。安くて、より効果的なのですからなおさらです。

梅田悦生・赤坂山王クリニック院長

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