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インフルエンザウイルス 「つまようじ」に増殖抑制効果あり

クロモジのようじ
クロモジのようじ(提供写真)

 インフルエンザ対策に「つまようじ」が役立つことをご存じか? 今年9月にその論文が掲載されたのは、愛媛大学医学部付属病院教授の伊賀瀬道也氏。

 つまようじの原料は、クロモジというクスノキ科の植物。クロモジを水蒸気蒸留させ、残ったものを濃縮乾燥させるとクロモジエキスができる。

 このクロモジエキスを飴にし、インフルエンザ患者との接触の機会が多い同大医学部付属病院の看護師ら67人に、インフルエンザシーズンの3カ月間、1日3回なめてもらった。

 別の看護師ら67人には、クロモジエキスが入っていない“プラセボ飴”を同期間、同じ回数なめてもらった。なお、全員がインフルエンザワクチンを接種済みだ。

「インフルエンザの罹患率は明らかに有意差がありました。クロモジエキス入りの飴をなめていた群は、インフルエンザの罹患は2人(3%)。一方、プラセボは9人(13・4%)。クロモジエキスの飴をなめると、インフルエンザの罹患者数が減る、つまり、予防効果があると考えられる結果だったのです」(伊賀瀬道也氏)

 クロモジはお茶もあるがお茶は喉や鼻をすぐに通過してしまう。だから予防効果は、クロモジエキスが喉や鼻にとどまり、洗い流されるまで数時間かかる飴の方が期待できるという。

 クロモジエキスを1日何回かに分けて摂取すると、インフルエンザウイルス増殖抑制効果がより高いことを突き止めたのは、信州大学農学部准教授の河原岳志氏。インフルエンザウイルスの標的となる培養細胞にクロモジエキスを加え、8分間処理。その後、クロモジエキスを除去してインフルエンザウイルスの増殖を見た。すると5時間経ってもウイルスの増殖を33%抑えられたが、5時間前と90分前の2回、クロモジエキスの8分間処理を行った場合は、ウイルス増殖抑制は80%。ほかの研究でも、クロモジエキスの処理回数が増えるほど、ウイルス増殖抑制効果が高まった。

 さらに河原氏は、同じくインフルエンザの抗ウイルス作用が高い茶カテキンとも比較。

「ウイルス増殖抑制力だけでなく、持続力でも茶カテキンよりクロモジエキスが明らかに勝っていた」(河原岳志氏)

 いずれも、ワクチン接種や手洗い、マスク着用などインフルエンザ対策の基本は大前提。しかし、それでも完全にウイルスをシャットアウトできない。“次の手段”として、今年はクロモジエキスを活用してはどうか?

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