100年人生が楽しくなる半日断食

医師は35年前から実践 朝食抜きの1日2食で体脂肪を燃やす

糖質制限を行えば、脂の多い肉など、おおむね食べ放題
糖質制限を行えば、脂の多い肉など、おおむね食べ放題

 江部先生の内臓脂肪がストン! と落ちる「食べトレ」のポイントは、糖質制限と1日2食の「半日断食」の2つ。

 糖質制限とは糖質の高い米やパン、麺類やイモ類、菓子などを取らない食事のこと。これを行えば脂の多い肉や魚、チーズや卵はおおむね食べ放題になる。お腹回りのぜい肉やリバウンドも気にすることはない。

 むしろ脂質やタンパク質はエネルギー源や体の構成成分として、積極的に取る必要がある。さもなければ半日断食は難しい。

「私は35年前の34歳の時から朝食抜きの1日2食を続けています。朝はコーヒーに生クリームを少量入れて飲むだけで、何も食べません。糖質制限をしていれば、お腹がすく原因となる『血糖値の乱高下』が生じませんので、『腹が減って、ひもじい』といった感覚はなくなり、お腹もあまりすきません。空腹感の原因は穀類やイモ類などの糖質をたくさん含むものを食べることにあります。実際、糖質制限をしている人の多くが1日2食を実践していますが、お昼前になってもお腹がすいてたまらないという人はいませんね」

■半日断食の注意点は?

 では、なぜ1日2食の半日断食が内臓脂肪を落とすのか。

「例えば、夕食を前日の夜7時に食べたとすれば、朝食を抜いて正午に昼食を食べた場合、食事をしない断食の時間は17時間になります。この間ずっと断食しているわけですから、当然、内臓脂肪の元凶となる糖質の摂取はゼロです。何より、断食の間に内臓脂肪をはじめとする体脂肪がメラメラと燃焼し続け、ストンと落ちるのです。午前中の活動に備えるなら、体脂肪として蓄積されている体内エネルギーで十分賄えます。私の1日2食ですが、ステーキランチを食べるときは、ライスを断ります。肉の糖質はほぼゼロですから、野菜の分だけで糖質5グラム未満。時間がない時は近くのコンビニで豚しゃぶサラダか蒸し鶏サラダ、それに茹で卵2個を買い、マヨネーズをかけて食べることも。夜にはよく『和食さと』でしゃぶしゃぶ食べ放題をいただきます。ロース、ヒレ、バラの他に野菜、キノコ、豆腐といった具材が、お腹いっぱい食べられます。シメはご飯ではなく、生卵で卵スープにします」

 ただし、半日断食には注意する点もある。

 糖質をたくさん取る従来の食事のまま断食してしまうと、かえって具合を悪くしてしまう可能性がある。

「長い空腹の時間を経てから大量の糖質を摂取すると、最低レベルに下がった血糖値が一気に急上昇します。すると、空腹時と食後の血糖値の差が大きい『血糖値スパイク』という最悪の状態を招き、血管に大きなダメージを与えます。血糖値が急上昇すると、それを下げるために膵臓から大量のインスリンが分泌され、これが毎日繰り返されると膵臓が疲弊してしまいます。インスリンを分泌する機能が低下してしまい、糖尿病になってしまうのです」

 (構成=中森勇人)

江部康二

江部康二

1950年、京都府生まれ。京都大学医学部卒。高雄病院理事長(内科医、漢方医)。日本糖質制限医療推進協会代表理事。近著に「内臓脂肪がストンと落ちる食事術」(ダイヤモンド社)がある。

関連記事