医療情報の正しい読み方

テレビ番組の最新健康情報になぜ飛びついてはいけないのか

写真はイメージ

 試験管内の実験結果や、動物実験の結果があたかもすぐ人間にも役立つような情報として流されることがしばしばあります。「○○大学のグループがコレステロールの合成をブロックする物質を××から発見」という試験管内の実験結果が、「△△を食べればコレステロールが下がる」みたいなニュースとして流れたり、テレビ番組で大きく取り上げられたりするような場合です。

 元の研究までさかのぼれば、動物実験の結果であることが容易にわかる場合が多いのですが、見出しや結論だけが独り歩きして、あっという間に△△がスーパーからなくなるという事態を引き起こしたりします。

 しかし、動物実験から人間での効果が明らかにされるまでには長い時間を要します。

 例えばコレステロールを下げる薬として今や全世界で広く使われているスタチンという薬を例に見てみましょう。試験管内の実験でコレステロールの合成をブロックする物質として発見されたのは1972年です。さらにサルに使用してコレステロールを下げることが実証されたのが79年、人間の薬として製品化されるのは87年です。

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名郷直樹

名郷直樹

「武蔵国分寺公園クリニック」院長、「CMECジャーナルクラブ」編集長。自治医大卒。東大薬学部非常勤講師、東大医学教育国際協力研究センター学外客員研究員。臨床研究適正評価教育機構理事。著書に「検診や治療に疑問を感じている方! 医療の現実、教えますから広めてください!!」(ライフサイエンス出版)、「逆説の長寿力21ヵ条 ―幸せな最期の迎え方」(さくら舎)ほか。

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