医者も知らない医学の新常識

生理学の専門誌で報告 「うがい薬」で血流が低下する?

写真はイメージ
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 風邪が流行する季節になりました。予防のために皆さんは何をしていますか? 毎日必ずうがいをする、というのは、比較的多い答えかも知れません。

 うがいには風邪の一定の予防効果がありますが、うがい薬を使う必要はなく、水やお茶のうがいで十分だといわれています。しかし、それでも抗菌作用や殺菌作用のあるうがい薬を使った方が、健康に良いのではないかと思われるかも知れません。しかし、それは本当に事実でしょうか? 

 実は今年の生理学の専門誌に、薬によるうがいが、血管の働きに悪い影響を与える、という結果が報告されているのです。一体それはどういうことなのでしょうか? 

 運動をすると、運動している時は血圧が上がりますが、運動後には普段より血圧が下がります。これは、運動により一酸化窒素が産生され、それが血管を広げて血流を増加させているからです。この一酸化窒素は血管で産生されますが、それ以外に口の中の細菌の力を借りて、口の中でも作られていることが最近分かりました。

 そこで運動の前に、殺菌作用のあるうがい薬でうがいをした場合と、ただの水でうがいをした場合とを比較したところ、うがい薬を使用した時には、一酸化窒素の産生量が減り、運動後にも血圧があまり下がらないことが確認されたのです。

 うがい薬というのは、意外に大きな影響を、体に与えることがあるようです。

石原藤樹

石原藤樹

信州大学医学部医学会大学院卒。同大学医学部老年内科(内分泌内科)助手を経て、心療内科、小児科研修を経て、1998年より「六号通り診療所」所長を務めた。日本プライマリ・ケア学会会員。日本医師会認定産業医・同認定スポーツ医。糖尿病協会療養指導医。

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