専門医が教える パンツの中の秘密

【ペニスが曲がる病気】2~9%で発生 直角に曲がる人も

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写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 中高年になると勃起力が弱くなることは男性の悩みのひとつです。しかし、「ペニスが曲がる」という事態も年齢が増すほど起こりやすくなるので要注意です。

 ペニスが曲がる病気は、生まれつきの「先天性陰茎湾曲症」という疾患もありますが、もともと真っすぐだったペニスが大人になって曲がってしまう「ペロニー病」があります。最初に報告したフランス人の名前が病名になったのですが、日本では「陰茎硬化症」や「形成性陰茎硬結症」などとも呼ばれています。

 50歳以上に起こりやすく、世界的に見た発症頻度は男性の2~9%とされています。症状としては、勃起時のペニスの変形(屈曲や短縮)、勃起時の痛み、変形が強いと腟への挿入ができなかったり、ED(勃起障害)の原因になったりします。

 ペニスの構造は、亀頭から尿道の周りを囲んでいる「尿道海綿体」と、その両側に「陰茎海綿体」があります。性的興奮があると、この海綿体内に血液が流入して膨張することで硬い勃起が完成します。先天性陰茎湾曲症は、この海綿体の発育がアンバランスのため曲がってしまいます。

 また、これらの海綿体は「白膜」という丈夫な線維組織の膜に包まれています。正常な勃起は海綿体の膨張に合わせて白膜も伸び、風船のようにパンパンに膨れます。ペロニー病の場合、白膜の一部に良性のシコリ(硬結)ができるのです。そのため白膜の伸展が均等でなくなり、一部が突っ張ってしまうので、シコリができている方向にペニスが曲がってしまうのです。ひどいと90度以上も曲がる場合もあります。

 白膜にシコリができる原因は分かっていませんが、糖尿病や男性ホルモンの低下がある人に多い傾向があります。また、手のひらの腱膜組織にシコリができて指が曲がる「デュプイトラン拘縮」の患者さんの約7~10%にペロニー病の併発が見られるとされています。勃起するとペニスが曲がって痛いと感じたら、診療科は泌尿器科になります。受診時は勃起していないでしょうから、携帯電話やスマホのカメラで勃起時の状態が分かるように、上下や左右の方向から撮影して持参するといいでしょう。

 治療は、最初はビタミンEやケロイド薬の内服、ステロイドの局所注射など保存的治療が行われます。半年から1年くらいで痛みはなくなり、シコリの大きさやペニスの変形が固定してきます。その時点で、ペニスの変形がセックスの妨げになるようなら修正手術をするかどうか検討することになります。

尾上泰彦

尾上泰彦

性感染症専門医療機関「プライベートケアクリニック東京」院長。日大医学部卒。医学博士。日本性感染症学会(功労会員)、(財)性の健康医学財団(代議員)、厚生労働省エイズ対策研究事業「性感染症患者のHIV感染と行動のモニタリングに関する研究」共同研究者、川崎STI研究会代表世話人などを務め、日本の性感染症予防・治療を牽引している。著書も多く、近著に「性感染症 プライベートゾーンの怖い医学」(角川新書)がある。

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