役に立つオモシロ医学論文

毎日「入れ歯」を洗浄する高齢者は肺炎になりにくい?

口腔内衛生は心臓病のリスクにも影響

 年齢、喫煙歴、肺炎球菌ワクチンの接種など、研究結果に影響を与えうる因子について統計的に補正して解析した結果、入れ歯を毎日洗浄する人と比べて、毎日洗浄しなかった人では、肺炎発症のリスクが1・3倍、統計学的にも有意に高いことが示されました。

 毎日入れ歯を洗浄していた人は、洗浄できるだけの認知機能や身体能力を有しているだけでなく、もともと健康に対する関心が高い集団かもしれません。この研究結果のみで入れ歯の洗浄頻度と肺炎リスクの関連を論じることは難しいように思います。ただ、口腔内衛生は心臓病のリスクにも影響していることが知られており、入れ歯の洗浄はできる限りこまめに行った方がよいでしょう。

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青島周一

青島周一

2004年城西大学薬学部卒。保険薬局勤務を経て12年9月より中野病院(栃木県栃木市)に勤務。“薬剤師によるEBM(科学的エビデンスに基づく医療)スタイル診療支援”の確立を目指し、その実践記録を自身のブログ「薬剤師の地域医療日誌」などに書き留めている。

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