もちろん、治療をスムーズに進められない状態もあります。患者さんの歯は千差万別で個性的な形もあるため、どうしても時間がかかってしまうケースがあるのも確かです。根管が湾曲していたり、石灰化を起こしていると先端の患部まで道具を通すのに時間がかかりますし、虫歯が大きくて歯の内部に穴があいてしまっていたり、歯の根が割れていたり……。歯の根が割れている状態は初期段階では診断が難しく、CTで初めて確認できる場合もあり、残念ながら完全に割れていたら根管治療では治せません。
先月、当院にいらした25歳の若い女性患者さんは、3年前に前歯をぶつけて時間が経ってから痛みが出たため別の歯医者に行き、1年間、根管治療で通院されていたそうです。しかし、CTを撮影すると垂直的に破折していました。この歯を保存する治療はありません。つまり1年間、治すことのできない歯を治療していたことになります。
状態を適切に診断し、きちんとわかるように説明し、確実性のある治療を進めてくれる先生かどうか。歯科医院を選ぶ際はそれが大事なポイントだと思います。
(構成=小澤美佳)
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