歯の疑問 ずばり解決!

歯の根管治療 通院期間で処置の良し悪しは判断できないが…

再感染をおこしてしまうと…

 もちろん、治療をスムーズに進められない状態もあります。患者さんの歯は千差万別で個性的な形もあるため、どうしても時間がかかってしまうケースがあるのも確かです。根管が湾曲していたり、石灰化を起こしていると先端の患部まで道具を通すのに時間がかかりますし、虫歯が大きくて歯の内部に穴があいてしまっていたり、歯の根が割れていたり……。歯の根が割れている状態は初期段階では診断が難しく、CTで初めて確認できる場合もあり、残念ながら完全に割れていたら根管治療では治せません。

 先月、当院にいらした25歳の若い女性患者さんは、3年前に前歯をぶつけて時間が経ってから痛みが出たため別の歯医者に行き、1年間、根管治療で通院されていたそうです。しかし、CTを撮影すると垂直的に破折していました。この歯を保存する治療はありません。つまり1年間、治すことのできない歯を治療していたことになります。
 状態を適切に診断し、きちんとわかるように説明し、確実性のある治療を進めてくれる先生かどうか。歯科医院を選ぶ際はそれが大事なポイントだと思います。 

(構成=小澤美佳)

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北沢伊

北沢伊

1977年7月8日、長野県生まれ。斉藤歯科医院院長。2003年に日本大学松戸歯学部を卒業。同年から同院に勤務し、13年から院長に就任した。若手歯科医師に向けたセミナーの講師を務め後進の育成にも取り組んでいる。日本口腔インプラント学会専門医。千葉県歯科医師会所属。

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