進化する糖尿病治療法

糖尿病は治らない…はかつての話 ポイントは早期治療にあり

集中的に体重コントロールに取り組む(写真はイメージ)/(C)日刊ゲンダイ

 また、英国のニューキャッスル大学とグラスゴー大学の研究グループによって行われている「DiRECT」(糖尿病を寛解するための臨床試験)には、2型糖尿病患者298人が参加しています。これらの患者は低カロリー食を実施し、ウオーキングなどの運動を毎日行うとともに、専門スタッフからストレス対処法や睡眠法についてのアドバイスを受けています。

 このうち、発症後6年以内の2型糖尿病患者64人を対象に、食事療法や運動療法を中心とし集中的に体重コントロールに取り組む群と、従来通りの治療を行う群に振り分け、12カ月後の結果を見ました。

 すると、集中的に体重コントロールに取り組んだ群は肝臓や膵臓にたまった脂肪も減少し、血中の中性脂肪が低下。それに伴い、血糖コントロールが改善し、血糖値が正常化。約半数にあたる29人が2型糖尿病から離脱できたのです。

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坂本昌也

坂本昌也

専門は糖尿病治療と心血管内分泌学。1970年、東京都港区生まれ。東京慈恵会医科大学卒。東京大学、千葉大学で心臓の研究を経て、現在では糖尿病患者の予防医学の観点から臨床・基礎研究を続けている。日本糖尿病学会、日本高血圧学会、日本内分泌学会の専門医・指導医・評議員を務める。

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