更年期を知って夫婦円満

「セックスとはこうあるべき」を押しつけていませんか?

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写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 ほとんどの更年期世代が最後に性教育を受けたのは学生の時で、恐らく30年以上前のことでしょう。当時は体の変化や月経、妊娠、性感染症などの生殖に関わる教育が中心でした。

 しかし、いま世界で主流となっている性教育は、私たちが受けてきたものとは違うもの。包括的性教育といって、ジェンダー平等や性の多様性を含む人権尊重を基盤とした性教育です。日本の性教育は遅れているという指摘もあります。

 前回のコラムで登場した日本性科学会セクシュアリティ研究会代表の荒木乳根子先生が「中高年も性教育が必要ではないか」と指摘されましたが、人生の半分以上を過ぎた私たち更年期世代も、性について知らないことがたくさんある。

 一例を挙げれば、性は喜びである一方で、親しい仲である夫婦間のセックスでも傷つく場合があると気付いていない人は想像以上に多い。特に夫婦では、最初は子供をつくるためのセックスであることが大半で、深く考えずに性生活を送っている方も少なくありません。

 妻側は「セックスは夫がリードするもの」と、ただ横たわって夫任せ。コンドームや潤滑ゼリーも夫が用意。

 一方、夫側は「セックスを求めたら妻は応じるのが務め」と思って、妻がリードし始めると、ふしだらだと感じ、時にそう指摘する。

 また、男女共通では、太ったなど体の見た目の変化を指摘。セックスに応じなければ、「浮気する」などと脅す。

 どれも、なれ合いの仲であるがゆえに、言いたいことを言ってしまう。任せっきりにしてしまう。自分の経験も含めて耳が痛い話ですが……。性は日常生活の延長線上にあるため、軽視されがちですが、食事や睡眠と違って、相手がある行為だと改めて私たちは肝に銘じるべきでしょう。

 放置しておくと、夫婦間で大きな溝が生じるのではないか。更年期世代だからこそ、学生時代に性教育で学べなかった相手への尊重を念頭に置き、性生活を改め、一緒に生きるパートナーとして夫婦関係をつくっていただきたいと思います。

小林ひろみ

小林ひろみ

メノポーズカウンセラー。NPO法人更年期と加齢のヘルスケア会員。潤滑ゼリーの輸入販売会社経営の傍ら、更年期に多い性交痛などの相談に乗る。

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