後悔しない認知症

「変だ」と思ったら言ってくれる「チェッカー」を持とう!

写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 知人は彼とのコミュニケーションの際、声の大きさ以外にとくに留意していることがある。①Y氏があいまいな相づちをした場合はわかりやすく再度話す②やや複雑な用件の場合はかならずポイントをまとめたメモを用意する③電話での込み入った話は避け、メールを多用する――の3つである。認知症になると、多くの人が「わからない」とか「もう一度説明してほしい」という言葉を避けるようになりがちだ。それを恥じる気持ちもあるし、認知症の症状として、「面倒くさい」が生じる。耳が遠いということも原因のひとつだ。そうした状況にあって、自ら「チェッカー」を指名したY氏は評価に値する。

■誤解が不信、不和、疎遠を招き、症状悪化

 人間関係におけるコミュニケーションの不具合は誤解を招く。その誤解は不信→不和→疎遠→断絶をもたらす。人と接する機会が減ることは認知症の症状を悪化させる要因になる。そうならないようにするには、まず誤解を回避する手だて、仕組みが必要となる。Y氏が知人に「チェッカー」を依頼したことは、認知症対策としてじつに理にかなった仕組みづくりといえる。

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和田秀樹

和田秀樹

1960年大阪生まれ。精神科医。国際医療福祉大学心理学科教授。医師、評論家としてのテレビ出演、著作も多い。最新刊「先生! 親がボケたみたいなんですけど…… 」(祥伝社)が大きな話題となっている。

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