血管・血液を知る

有名俳優も発信「血液クレンジング」はなぜ批判されるのか

市川海老蔵(左)と森光子(C)日刊ゲンダイ

 オゾンとは酸素原子(O)が3つ結合したにおう気体のことです。強力な毒性(酸化能力)があり、脱臭や殺菌などに効力を発揮します。有害な紫外線から生物を守る「オゾン層」をイメージする人も多いと思います。このオゾンを血液に加えると血液が浄化され、細胞が活性化し、体が元気になるというのが血液クレンジング治療を積極的に行っているクリニックなどの言い分です。では、本当にそのような効果があるのでしょうか?

 血液クレンジングを受けた人は「ドス黒い血液がオゾンを注入したら鮮やかな赤色に変わった」ことに感動し、効果があると感じるようです。しかし、これは単に血液中赤血球のヘモグロビンに酸素が結びつくことにより起こる現象です。クレンジング治療をしなくても、普通に呼吸をしていれば酸素を含んだ動脈血は赤くなります。

 先ほどもお話ししましたが、オゾンには強力な毒性があります。そのため、臨床用には酸素や空気で20倍以上薄めて使われます。この酸素を吹き込めば、血液が鮮やかな赤色になるのは当然なのです。

2 / 3 ページ

東丸貴信

東丸貴信

東京大学医学部卒。東邦大学医療センター佐倉病院臨床生理・循環器センター教授、日赤医療センター循環器科部長などを歴任。血管内治療学会理事、心臓血管内視鏡学会理事、成人病学会理事、脈管学会評議員、世界心臓病会議部会長。日本循環器学会認定専門医、日本内科学会認定・指導医、日本脈管学会専門医、心臓血管内視鏡学会専門医。

関連記事