漢方の意外な実力

臨床試験で判明 高血圧を改善する釣藤散にもう一つの効果

漢方は病名でなく体質で処方を見極める

 漢方は、病名ではなく体質で処方を見極めるため、釣藤散は体力がなく疲れやすい体質の高血圧に、大柴胡湯は体力がある高血圧に処方されます。そういう使い分けをすることで、軽症高血圧の血圧を下げ、耳鳴りをはじめとする随伴症状の改善も期待できるといえるでしょう。

 黄連解毒湯は、一般にのぼせ気味で、顔色が赤く、イライラしている人の、不眠症や神経症、胃炎、めまいなどに使われますが、のぼせや顔面紅潮といった高血圧の随伴症状にも用いられることがあります。

 その黄連解毒湯についても、服用する134人と服用しない131人に分けて8週間追跡。特にのぼせや顔面紅潮は、有意差をもって改善していたことが報告されています。

 西洋薬の降圧剤はとても優れていて、効果的であることに異論はありません。しかし、それでも血圧が安定しなかったり、自覚症状が改善しなかったりすることはままあります。そんなとき、漢方薬を使うといいでしょう。気になる人は、ぜひ漢方内科を受診してみてください。=おわり

(梅田悦生・赤坂山王クリニック院長)

2 / 2 ページ

関連記事