後悔しない認知症

若いころから面倒見が良ければ老いてからも快適に過ごせる

写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

「ボケが始まったら、なんだかみんながやさしくしてくれるんですよ」

 84歳になる知人がうれしそうにいう。同い年の奥さんと2人暮らしをしているのだが、自分が認知症と診断されたことを知った息子夫婦が、いままでとは違い頻繁に家に顔を出すようになったという。温泉好き、洋服好き、ジャズ好き、ゴルフ好きの彼に「箱根に行こう」「御殿場のアウトレットがバーゲンだ」「ブルーノートのチケットが手に入った」「たまには一緒にグリーンを回ろう」などと誘ってくれるようになったのだという。「育て方は間違っていませんでした」と息子の変貌ぶりにやや戸惑いながらもうれしそうだ。

 おそらく、父親の認知症発症を聞き、息子さんは認知症対策の情報を収集したに違いない。家に閉じこもらずに、外出させ、好きなことを続けさせ、日を浴びるといったことが認知症の進行を抑えると知ったのだろう。そのせいか、知人はこれまで通り、なにかにつけポジティブな姿勢を保っているし、表情も明るい。息子夫婦がこうした接し方を心がければ、知人の認知症の進行は間違いなく穏やかだろう。子どもばかりではない。かつての部下、年下の知人などとも、こうした関係を続けられれば、なおいい。

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和田秀樹

1960年大阪生まれ。精神科医。国際医療福祉大学心理学科教授。医師、評論家としてのテレビ出演、著作も多い。最新刊「先生! 親がボケたみたいなんですけど…… 」(祥伝社)が大きな話題となっている。

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