後悔しない認知症

若いころから面倒見が良ければ老いてからも快適に過ごせる

写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

■若い人の助けを借りてウィンウィンの関係に

 一方で、年を重ねたり、認知症になったりすると、子ども、かつての部下、知人との関係が急激に疎遠になる人もいる。そうしたタイプの人は認知症の進行が速いという傾向が見られる。

 認知症になってからの人づきあいの違いの理由はどこにあるのだろうか。長年、精神科医として数多くの高齢者を診てきた私の経験から言わせてもらおう。それは、その人に「面倒見の良さ」があったかどうかだ。相手が子どもであれ、他人であれ、自分の周りの人間に、その人の身になって「誠実に一生懸命に対応してきたかどうか」である。子どもの意思を尊重して、子どもの生き方を親として支えてきたか。悩んでいる部下、困っている知人に協力を惜しまずフォローしてきたか。これが、親子関係を含めた高齢者の人間関係を左右するといっていい。若いころからこれができていれば、年を重ね、仮に認知症になったとしても、若い人との関係は苦にならない。また、相手も離れていくことはない。

2 / 4 ページ

和田秀樹

和田秀樹

1960年大阪生まれ。精神科医。国際医療福祉大学心理学科教授。医師、評論家としてのテレビ出演、著作も多い。最新刊「先生! 親がボケたみたいなんですけど…… 」(祥伝社)が大きな話題となっている。

関連記事