90歳現役医師 最強の体調管理

テストで判定 50代で“朝立ち”がめったにないのは要注意

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写真はイメージ(C)PIXTA

 体調管理のカギを握るのは、元気ホルモンであるテストステロン。この分泌量が下がると、体にさまざまな異変が発生する。

「早速ですが、簡単なテストをしてみましょう。あなたは以下の質問にいくつ当てはまるでしょうか?」

質問① 不規則な生活で寝る時間や食事時間がバラバラだ。
質問② 仕事や人間関係に強いストレスを感じている。
質問③ 体調がすぐれず、気持ちが上がらない。
質問④ 寝つきが悪い。睡眠が浅いと感じる。寝汗をかく。
質問⑤ いきなり不安や寂しさを感じることがある。
質問⑥ ほてり、のぼせ、多汗がある。
質問⑦ 最近、ヒゲの伸びが悪くなった。
質問⑧ 性欲や勃起力が減退したと感じる。
質問⑨ 最近「朝立ち」がめったにない。

「これらのうち2つ以上当てはまったら体が『黄信号』を発していると言っていいでしょう。最初の①と②の質問は、生活状況に関したものですが、不規則な生活やストレスの多い毎日を送っていると、通常は50代くらいから急に減ってくるテストステロンが、30代でも減ってくることがあります。また、②で尋ねた『ストレス』こそ、男性ホルモンの低下の大きな引き金です。③~⑤はメンタルについて。テストステロン低下により睡眠の質が低下することも知られています。⑥⑦はテストステロン欠乏により体に表れる具体的な症状。ヒゲの伸びが遅くなる=テストステロン低下のサインです。⑧⑨は性機能について。50代で『朝立ち』がめったにないのは要注意。テストステロンが低下しています」

 元気がない、やる気が出ない、だるくて疲れが取れない、うつっぽいなどの体調不良はまとめて更年期障害と言われている。

「これらの症状もテストステロンの低下によるもの。通常なら精神科に行くところですが、そういった症状のある人は、ぜひ『メンズヘルス外来』へ行ってみてください。他に男性更年期外来、男性外来などさまざまな呼び名がありますが、昨今は男性ホルモンに関する専門知識を持った医療機関が増えてきました。泌尿器科が兼ねている場合もあります。泌尿器科と聞くと『ED(勃起不全)専門』と誤解している人が少なくありません。EDも男性ホルモン低下が原因であることが多いのですが、男性ホルモンの働きはもっと広いのです。受診する際は男性医学の知識があるかを確認するようにしてください」

 メンズヘルス外来を訪ねたらまず、担当医に「男性ホルモン(フリーテストステロン)値を測って欲しい」と伝える。

 多くの場合は血液を採取し、1週間後には検査結果がわかる。

「正確なテストステロン値が分かれば、治療対象なのかどうかの判断ができます。足りなければ補充することが重要になります」

 どんな病気でもそうだが、早期発見、早期治療が、回復には欠かせない。

 (構成=中森勇人)

熊本悦明

熊本悦明

1929年、東京都生まれ。東京大学医学部卒。日本メンズヘルス医学会名誉理事長、札幌医科大学名誉教授。現在は「オルソクリニック銀座」(東京・中央区)で、名誉院長として診療中。近著「『男性医学の父』が教える 最強の体調管理 テストステロンがすべてを解決する!」(ダイヤモンド社)がある。

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