【Q】 漬物を食べてから右上の奥歯が痛み、歯科医院を受診すると「歯が割れているので抜かないと」と言われました。残す方法はありませんか?
【A】 割れ方によって治療の余地があるのかどうかが変わってきます。水平的に横に割れていたら根の治療をして差し歯の状態で保存することが可能ですが、根の深い部分で割れていた場合は治療が困難です。
垂直的に縦に割れている場合は、ほとんど抜歯が選択されます。割れている部分を接着して戻す処置もありますが、確実な治療とはいえません。
歯が割れてしまう原因ですが、神経を取っている歯の場合、適切に処置がなされ噛み合わせのコントロールができていればリスクは少なく、適切に処置されていなくて過度に力がかかった場合は割れる可能性が高くなります。それは神経が残っている場合でも同じで、割れる可能性もあります。
65歳の男性患者さんは、すべての歯が健全に残ってはいましたが、年齢のことも考えて、かねて「硬いものを無理して噛まないように」と伝えていました。それでも、あるとき「ナッツを噛んだら歯が割れてしまった」と急患で来院されました。実際に歯が割れて初めて先生の言っていたことが理解できたとおっしゃっていました。
人の歯は年齢を重ねるとともに石灰化し、硬くなっていきますから、それまでは硬いものを噛んでも何ともなかったのにいきなり割れたという方も少なくないのです。
ただ、突然歯が割れることはなく、兆候としてクラック(亀裂)が歯の表面にできます。硬いものを噛むときのクセで、強い力の加わり方が繰り返されるとクラックは大きくなり、歯が割れる原因になるのです。自分で確認するのは難しいので、歯科医院でのクリーニングや検診などで定期的にチェックしてもらうことをおすすめします。
危うい場所を事前に教えてもらっていれば、むやみに硬いものを噛むことを避け、意識が予防につながるでしょう。
サメと違って人間の永久歯は失ったら二度と生えてきません。いつまでも自分の歯で噛み続けられるように大事にしていただきたいと思うのです。
(構成=小澤美佳)
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