血圧以外の影響を排除し、両グループを比較したところ、「就寝グループ」は「起床グループ」に比べて、あらゆる発症リスクが45%も下がったのだ。具体的に、心筋梗塞の発症リスクは34%減、血管内で行うカテーテル治療を必要とするリスクは40%減、脳卒中発症リスクは49%減、そして、心臓病で死亡するリスクは56%減――。どれも、有意差をもって、圧倒的に少ないのだ。
降圧剤を飲むタイミングで、これだけ大きな差が生まれるのはなぜか。
「今回の研究は、降圧剤の種類を分けず、ひとくくりに追跡しているのがミソでしょう」
こう言うのは、東京都健康長寿医療センターの桑島巌顧問(循環器専門医)だ。どういうことか。桑島氏に聞いた。
「ポイントは、薬効の持続時間です。降圧薬は、カルシウム拮抗薬やACE阻害薬、アンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬などが幅広く、それぞれのタイプに、長時間作用型の薬から短時間作用型があります。長時間作用型は、薬効が1日以上持続するので、毎日服用していれば、飲むタイミングの違いで、不具合が起こることは考えにくい。今回、大きな開きが見られるのは、作用時間が短い薬を飲んでいる人が多かったのではないか」
病み患いのモトを断つ