医療情報の正しい読み方

「冷え」と「インフルエンザになる」関係を分析…何が必要か

写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 これで冷えはインフルエンザに関係していると思われるでしょうか。

 しかし、これは「インフルエンザ患者では50%が冷えに関する体験があった」という記述研究にすぎません。それでは相関や原因を検討する「分析研究」にするためには、どうすればいいでしょうか。それは比較対照を置くことです。具体的にはインフルエンザ患者でない人で冷えの体験があったかどうかを同時に調査し比較することです。インフルエンザでない人でも50%が冷えを体験していれば、インフルエンザと冷えには関連がないということになります。

「分析研究」において、この比較対照があるかどうかというのは決定的な吟味のポイントです。

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名郷直樹

名郷直樹

「武蔵国分寺公園クリニック」名誉院長、自治医大卒。東大薬学部非常勤講師、臨床研究適正評価教育機構理事。著書に「健康第一は間違っている」(筑摩選書)、「いずれくる死にそなえない」(生活の医療社)ほか多数。

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