後悔しない認知症

大事なのは子供や周囲の「幸せに生きてほしい」という気持ち

写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

■6つの「やってはいけないこと」

 この連載は今回をもって終了となるが、連載のタイトルに沿って、これまで述べてきたことを整理してみよう。

 まず[やってはいけないこと]は◇親の「今」を嘆く◇親の言動を否定する。問い詰める◇感情的になる◇家に閉じ込める◇会話を避ける◇不機嫌な顔で接する。そして「やらなくてはいけないこと」は◎信頼できる専門医の診断を仰ぐ◎親の「今」を受け入れる◎話を聞いてあげる◎理性的に対応する◎言動を頭から否定しない◎趣味を続けてもらう◎できる限り外出させる◎会話の機会を増やす◎笑顔で接する、などである。

 これまで、たびたび述べてきたように、何よりも子どもは認知症の親に機嫌よく生きてもらうことを考えるべきだ。もちろん、高齢者本人が「どうしたらボケを防げるか」というスタンスも大切だが、認知症と診断された高齢者に対しては「どうすれば機嫌よく生き、幸せになってもらうか」を最優先させるべきなのだ。数多くの認知症の高齢者と向き合ってきた精神科医としてはそう考える。

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和田秀樹

和田秀樹

1960年大阪生まれ。精神科医。国際医療福祉大学心理学科教授。医師、評論家としてのテレビ出演、著作も多い。最新刊「先生! 親がボケたみたいなんですけど…… 」(祥伝社)が大きな話題となっている。

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