出産女性の3割が該当 高齢出産後の妻の生理に夫婦でケアを

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 芸能界はここのところ、結婚、妊娠、出産ラッシュだ。歌手の華原朋美(45)は今年8月に第1子を。女優・小雪の姉でモデルの弥生(44)は9月に第1子を出産した。女優の笛木優子(40)、タレントの優香(39)は現在第1子を妊娠中である。

 こうして見てみると、高齢出産が増加していることを改めて感じさせられるが、なにもこれは芸能界に限った話ではない。一般的に使用されている“35歳以上の出産”を高齢出産とするならば、厚生労働省の「人口動態統計」では、2017年に出産した女性の3割強が高齢出産だ。

「高齢出産が当たり前になった現代だからこそ、出産後のお母さんと、そしてご主人に注意を払っておいて欲しいことがあります」と話すのは、帝京平成大学ヒューマンケア学部看護学科の河端恵美子教授。それは、「出産後の生理の再開」だと言う。

 出産直後の女性の体は、女性ホルモンであるエストロゲンの分泌がほぼゼロになり、卵巣は機能していない状態。このため、出産後の女性は心身ともに閉経後と同じような状態になる。

「出産後数カ月は誰もがこの状態になりますが、高齢出産の女性では、若い人と比べて体の回復が遅くなりがち。母乳の分泌状態にもよりますが、若い世代なら授乳中でもたいてい3カ月ほどで生理が来るのに、高齢出産の場合はなかなか生理が再開しない。中には、そのまま閉経してしまう人もいるのです」(河端教授=以下同)

「閉経になる」ということはつまり、「エストロゲンの分泌がなくなる」ということ。すると自律神経が乱れ、更年期と同様の症状が出てくる。ここに初めての育児による疲労が重なると、心身ともに追い詰められたような気分になり、うつ症状に陥ってしまうケースもある。いわゆる「産後うつ」だ。

 さらに高齢出産の女性が6カ月以上生理の再開がない場合、膣や子宮が萎縮する場合も。そうなると性交渉の際に痛みを感じるため、嫌悪してしまうようになるという例もあるという。

「出産後の生理の再開」には重要な意味があるということは、男女問わず覚えておきたいものだ。

「奥さんの様子がおかしいと感じたら、ご主人は生理の再開について聞いてみてください。話題にしづらくても、自分の家庭の問題だという意識を持つこと。もし生理の再開が遅れている場合は、産婦人科の受診を勧めるべきです」

 出産後の女性は育児中心の生活で、自身のことは後回しになりがちで、生理の再開に注意を払わない人も多い。そんな妻を支えられるのは、身近にいる夫しかいない。

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