90歳現役医師 最強の体調管理

医学的に明確な関係なし 男性ホルモンを補充してもハゲない

医学的に明確な関係はない

 薄毛の原因は、遺伝的なものや生活習慣、いろいろな要素が複雑に絡んでいる。

「少なくとも私のクリニックの患者にハゲの方はおられません。それが何よりの証拠です」

 そしてAGA治療には意外なリスクが潜んでいる。

「AGA治療では脱毛ホルモンであるDHTの生成を食い止めるべく、5αリダクターゼを抑制する薬として『プロペシア(フィナステリド)』が処方されます。それは直接的に男性ホルモンを抑制しないと言われていますが、実際にはAGA治療を受けたために、体調不良、性欲減退、うつに悩んで、私の外来に訪れる若い方がいます。そしてテストステロン値を測ると、やはり下がっている。その方はテストステロン補充治療で元気を取り戻されましたが、奥さまから『そんなことをすると、また髪の毛が抜けちゃうでしょ』と怒られ、治療をストップ。するとまた元気がなくなってしまうという事態に……。最近、元気がないということで相談を受けた患者のM・Kさん(55)のケースでは発毛剤を服用していたということだったのですが、テストステロン投与を行ったところ、元気さを取り戻しました。AGAの治療薬を飲んでも誰もが毛が増えるとは限りません。2年も3年も飲んでも毛の量は変わらないまま、ただ男としての元気さをなくすという、踏んだり蹴ったりの結末もあり得るのです」

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熊本悦明

熊本悦明

1929年、東京都生まれ。東京大学医学部卒。日本メンズヘルス医学会名誉理事長、札幌医科大学名誉教授。現在は「オルソクリニック銀座」(東京・中央区)で、名誉院長として診療中。近著「『男性医学の父』が教える 最強の体調管理 テストステロンがすべてを解決する!」(ダイヤモンド社)がある。

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