がんと向き合い生きていく

乳がんの再発予防で10年間もホルモン剤を飲み続けるの?

佐々木常雄氏(C)日刊ゲンダイ

 手術してくれたB先生は、忙しいのに外来でも毎回とても親切で丁寧に説明してくれました。ホルモン剤を飲み始めた時は「5年間飲みましょう」と言われました。でも、B先生は去年からよその病院に転勤になってしまい、担当が新しく赴任したF先生に代わりました。てきぱきしていて、問題はない先生だと思います。ただ、なんとなく質問しづらいような、B先生とは雰囲気が違う感じなのです。そして今回、F先生から「あなたの場合、ホルモン剤は10年間飲んだ方が再発の危険が減ると思います。どうしましょうか?」と言われました。

 とてもショックでした。

 私の父は進行した胃がんでしたが、手術して5年経って再発もなく、医師から「卒業です。完治です」と言われました。あるがんの講話でも「がんは5年再発しなければ完治と考えてよい」と聞きました。私は5年間でホルモン剤は終わりと思っていて、「あと1年で5年になる。もう少しでバンザイ。完治だ」と考えていたのです。

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佐々木常雄

佐々木常雄

東京都立駒込病院名誉院長。専門はがん化学療法・腫瘍内科学。1945年、山形県天童市生まれ。弘前大学医学部卒。青森県立中央病院から国立がんセンター(当時)を経て、75年から都立駒込病院化学療法科に勤務。08年から12年まで同院長。がん専門医として、2万人以上に抗がん剤治療を行い、2000人以上の最期をみとってきた。日本癌治療学会名誉会員、日本胃癌学会特別会員、癌と化学療法編集顧問などを務める。

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