独白 愉快な“病人”たち

日本語学者・山口仲美さん がん手術で抱えた“選択の悩み”

山口仲美さん(C)日刊ゲンダイ

 幸い、大腸がんの時からかかっていた病院は、難易度の高い膵臓がんの手術も見事にこなしている病院でしたので、その病院で予定通り手術を受けました。確かに膵臓がんの手術もうまかった。

 さて、手術の後には、がん患者には、3番目の選択の悩みが襲ってきます。抗がん剤治療を受けるか受けないか。抗がん剤治療が生存率を少し上げるというデータがありましたので、受けましたが、つらくて挫折寸前。

 第4に襲ってくるのが、主治医との相性の問題。私の場合は、膵臓がんの手術をしてくださった外科医がそのまま抗がん剤治療の主治医になった。

 でも、この先生、手術の腕も一流なんですが、患者の心を萎えさせる名人でもあった! 何か質問すると、すごく怒る。「あんたのような人ががんを再発させて死ぬんだ」なんて、平気でおっしゃる。悩んだ末、抗がん剤治療の主治医を他に代えました。やっぱり患者を元気に頑張らせてくれる先生でないとネ。

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