ドクター牧田 最強の食事術

あふれる健康情報…真実を読み取る力を持たないとバカをみる

専門家が言うことが正しいとは限らない

 その学術雑誌が一流かそうでないかを知るには、そこに掲載された論文が世界中の学者たちにどれだけ引用されたかでわかります。それを「インパクトファクター」と言って、特殊な計算方法でランキングしたものが公表されています。

 例えば2018年の「ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシン」という医学雑誌で点数は70・67点、「ネイチャー」43・07点、「サイエンス」41・03点でした。一方、2015年の日本糖尿病学会の英文学術誌は2点以下でした。仮に、糖質制限は是か非か、について欧米の一流の学術誌と日本糖尿病学会の主張が対立したとすれば、どちらを信頼すべきかは一目瞭然でしょう。

 食品会社の本音と建前を意識しておくことも健康には大切です。命につながる食品を扱う会社とはいえ、その目的はたくさん売って儲けることです。もちろん、根底に食を通じて消費者に貢献するという意識はあると思います。しかし、企業である以上、利潤を追求することは当然ですし、それは悪いことではありません。ただ、消費者は食品会社の主張の中身を見分ける力が必要です。

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牧田善二

牧田善二

AGE牧田クリニック院長、医学博士、糖尿病専門医。1979年、北海道大学医学部卒業。ニューヨークのロックフェラー大学医生化学講座などで糖尿病の合併症の原因とされるAGEを研究。96年から北海道大学医学部講師、2000年から久留米大学医学部教授。03年から糖尿病をはじめとした生活習慣病および肥満治療のための「AGE牧田クリニック」を東京・銀座で開院、延べ20万人以上の患者を診ている。著書に「医者が教える食事術 最強の教科書」(ダイヤモンド社)ほか、多数。

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