医療情報の正しい読み方

臨床研究では「思い出しやすさ」で結果が歪められる場合も

写真はイメージ(C)PIXTA

 この2倍の差が、真に冷えの差であるかどうかは怪しくなってきます。インフルエンザ患者で2倍思い出しやすかっただけかもしれないのです。

 臨床研究では真の関係をゆがめるさまざまな因子が存在します。この因子のことを「バイアス」と呼びます。インフルエンザと冷えの関係は、真の関係でなく、バイアスの結果でないかと検討する必要があります。

 因果関係かどうかを吟味するには、比較対照を置いているかどうか、関係をゆがめるような因子、バイアスがないかどうかに注目することが重要です。

2 / 2 ページ

名郷直樹

名郷直樹

「武蔵国分寺公園クリニック」名誉院長、自治医大卒。東大薬学部非常勤講師、臨床研究適正評価教育機構理事。著書に「健康第一は間違っている」(筑摩選書)、「いずれくる死にそなえない」(生活の医療社)ほか多数。

関連記事