5年後に治る可能性 「遺伝子治療技術」で難病が消えていく

元気な子供が増える?

 2018年末に公開された映画「こんな夜更けにバナナかよ 愛しき実話」の主人公の病気として知られるようになった「筋ジストロフィー」。発症が男児に限定される遺伝性疾患(厚生労働省の指定難病113)で、出生男子の3500人に1人の割合で発症する。

 無治療で放置すれば10歳未満で歩行困難となり、10代後半で呼吸筋や心筋が障害を受け、心不全で死に至る。ジストロフィン遺伝子の異常によりアミノ酸が正しく作られないために筋肉の細胞膜に存在するジストロフィンが発現しないなど、いくつかの病型がある。

 今年9月に、この病気の画期的な治療薬「ビルトラルセン」が日米同時に承認申請された。新薬は原因遺伝子の異常部位をワザと無視する「エクソンスキップ技術」を用いたものだ。患者のDNAと似た構造をしたアンチセンス核酸医薬によって「遺伝情報をダマして」、正常に近いタンパク質作りを実現する。

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