医療情報の正しい読み方

症例対象研究「後ろ向き」と「前向き」の意味の違いとは

写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 前回紹介した研究は、インフルエンザ患者が受診した時点で、インフルエンザでない患者を対照として設定して比較するという方法です。インフルエンザという症例とインフルエンザでない比較対照を比較するという点で、症例対照研究と呼ばれます。

 さらにこの研究では、過去に振り返って「冷え体験を聞く」という方法でしたが、これは過去に振り返って調査をするという点から「後ろ向き研究」と呼ばれます。「後ろ向き研究」では、過去の事実を振り返って調査すると、どうしてもそこで問題が生じます。前回の言葉を使えば、バイアスによってゆがめられるということです。

 それではこのバイアスを避けるためにどうすれば良いかを考えてみます。後ろ向きにするとバイアスが入るので、「前向き」にしてみようというのがひとつの方法です。具体的には、まず先に冷え体験を調査しておいて、その後その人たちがインフルエンザになるかどうかを追跡していく研究です。こうすれば、インフルエンザの人が冷え体験を思い出しやすいというバイアスを避けることができます。

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名郷直樹

名郷直樹

「武蔵国分寺公園クリニック」院長、「CMECジャーナルクラブ」編集長。自治医大卒。東大薬学部非常勤講師、東大医学教育国際協力研究センター学外客員研究員。臨床研究適正評価教育機構理事。著書に「検診や治療に疑問を感じている方! 医療の現実、教えますから広めてください!!」(ライフサイエンス出版)、「逆説の長寿力21ヵ条 ―幸せな最期の迎え方」(さくら舎)ほか。

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